エジプトの黄色い鳥の話

ニシコウライウグイス(Eurasian Golden Oriole)

エジプトの最北、地中海に面する街マルサマトルーフ。ビーチは海で遊ぶエジプト人や旅行者でにぎわいます。そんな海沿いの街でカゴに入った黄色い鳥を見かけました。

渡り鳥のニシコウライウグイス(Eurasian Golden Oriole)。エジプトでは地域によって、それぞれ違う呼び名で呼ばれる鳥。オスは鮮やかな黄色と黒、メスは少し緑がかった黄色に細かな縞のような柄も目立ちます。スズメ目の鳥で大きさは20-23cmほど。ヨーロッパや西アジアで夏を過ごし、アフリカの中南部で越冬するために、エジプトを通過します。

エジプト 黄色い鳥

籠の中の鳥。大空高く飛び、地中海を超え、まだまだ長い旅の途中。一休みのつもりで舞い降りたエジプトで運悪く捕まってしまいました。1羽あたり日本円で200円ほどの値段で売られています。

食べる。

そう、この黄色い鳥は食用として売られているのです。猟銃で撃ち落としたり、網の仕掛けなどで捕獲するのだとか。おびき寄せ作戦で、オスの鳥の模型を木の上に置いておくと、メスたちが集まってくるんだそうです。他にも、録音したこの鳥の鳴き声を流すなど、知恵を使い捕獲します。毎年鳥たちが渡って来る8月末から9月中旬にかけて人々はとても楽しみにしています。仕事を休んででもこの時期だけは、という人も中にはいるようですね。マルサマトルーフなどの沿岸部では写真のように籠に入れて商売とすることも多いのですが、砂漠のオアシスでは、家族や友人たちと、このご馳走で食卓を囲みます。”果物しか食べない鳥”、”体にいい食べ物”と古くから信じられているのだとか。

ゴールデンオリオール

黄色い綺麗な鳥なので、「食用?」と少々驚いたものの、日本で言えばスズメの焼き鳥のような感覚でしょうか。同じスズメ目ですからね。大きさはスズメというよりヒヨドリサイズでしょうが。

調理方法も家庭によりいろいろ。鳥を茹でたスープでご飯を炊き、鳥はニンニクと油で炒めて食べたり、お米を詰めて煮たりします。とても美味しいご馳走の完成です。

鳥たちには、まさに命がけの旅。

無事にエジプトを通過できるのか、それともハンターたちに捕らわれて食卓に並ぶのか。黄色い鳥たちをめぐる物語。

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